2021/4/23 Stelara Digital Symposium

1.難治性潰瘍性大腸炎 内科治療のトリセツ ~基本治療とBio製剤の最適化を中心に~

2.難治性潰瘍性大腸炎に対する治療戦略 -Ustekinumabの位置付け-

 

上記の演題で岩手医科大学の松本先生が司会を務め 大阪医科薬科大学の中村先生と札幌厚生病院の本谷先生が講演してくれました。潰瘍性大腸炎患者さんが腹痛 下痢で発症したらまずは5-ASA製剤を投与しますがそのうち40%~50%が改善せずステロイドを投与することになります。しかしその後ステロイド投与患者さんの30%-40%の患者さんはステロイドが効かなくなります(ステロイド難治症例)。ステロイド難治症例の80%はステロイド依存症で チオプリン(イムラン アザニン ロイケリン)で加療しますがそのうちの50%は治療が上手くいきません。このような症例にはBio製剤を含めた分子標的薬や白血球除去療法により治療されます。イムランは肝機能障害 消化器障害 脱毛などの副作用があり 服用できない方がある程度いらっしゃいます。イムラン投与によりステロイド依存症患者さんの半数がステロイドを中止でき その後は80%ぐらいの症例で維持できます。ステラーラを潰瘍性大腸炎に対し投与した治験の成績では 短期の寛解導入率はあまりよくありませんが2回投与した後の4か月後には多くの患者さんに有効です。1年後にステロイドを中止し寛解になった患者さんの割合はBio製剤のなかで最も成績がよいです。維持治療の場合8週間隔で投与すると再燃が少なく長期に投与維持が可能です。レミケード ヒュミラ シンポニーは自然免疫 エンタイビオは獲得免疫 ステラーラはその両方ブロックします。抗TNF-α抗体において 短期の寛解導入ではヒュミラ<シンポニー<レミケードの成績です。維持ではレミケード=シンポニー、ヒュミラは段々成績が向上してきます。潰瘍性大腸炎治療の実地臨床ではエンタイビオは症状のあまり強くないステロイド依存に最適で、入院治療が必要な症例には効果ありません。ステラーラは投与開始2か月後(2回投与後)にすっかり症状が取れていれば(寛解)以後も継続して投与可能です。抗TNF-α抗体の2次無効例にはエンタイビオよりステラーラがより有効です、エンタイビオの2次無効にはステラーラより抗TNF-α抗体のほうにより効果があるでしょう。