2021/7/12 Stelara Crohn’s Disease Forum

ウステキヌマブ(ステラーラ)の最新知見をどう読み解き、日常診療にどう生かすか?

 

上記の演題で 札幌医科大学の仲瀬先生、岩手医科大学の松本先生、 東京慈恵医科大学の猿田先生がクローン病患者さんに対するステラーラの使用方法を討論してくれました。

クローン病は狭窄 瘻孔などの合併症が出現する前に炎症を完全に鎮静化すると再燃 手術が減ります。クローン病の病態は特に病初期はTh1メカニズムが主体ですが 治療が不十分であるとTh2, Th3などの他のメカニズムに変わっていきます。ステラーラの2次無効率は抗TNF-α抗体(レミケード ヒュミラ)より低そうです。1剤目の抗TNF-α抗体が著効したけれども再燃した場合は他の抗TNF-α抗体に変更するのがよく、1剤目の抗TNF-α抗体の効果が不十分ならばステラーラやエンタイビオに変更したほうがよいでしょう。どれを使用するかは臨床的重症度 腸管合併症、腸管外合併症などで評価します。最新の治験(SEAVUE)では罹病期間が短くて炎症が軽度(CRP:0.5~0.6)の患者さんではステラーラとヒュミラの治療成績は同等でした。副作用も同等でした。1年後の薬剤継続率はステラーラがヒュミラより高い傾向でした(84%vs76%) 薬剤のデータを読み解く場合は特に患者背景の吟味が重要です。ステラーラはイムランの併用が不必要で2剤目に使用しても比較的成績がよく1年間投与継続できれば、その後も投与継続すると効果は5年程度維持できます。(治験では観察期間5年間なのでそれ以上のデータはありません。)好適症例は腸管合併症のない中等症クローン病患者さん、イムランが副作用のため使用できない患者さん ステロイド+イムランで再燃した患者さんです