2021/10/20 ステラーラUC効能追加1周年Seminar in 大分

潰瘍性大腸炎治療におけるウステキヌマブ(ステラーラ)の役割

 

上記演題で大分大学の村上和成先生がご司会をされ 東京慈恵会医科大学の猿田雅之先生が講演されました

潰瘍性大腸炎の症状は血便:40%、下痢:40%、腹痛:25%、腹部不快感:30%で 食事 仕事が大きく制限されQOLの著しい低下をもたらし 患者さんの80%が生涯この病気のために悩まされます。とはいえ軽症:60% 中等症:30%であるので多くの患者さんは基本治療が大切です。ステロイドは十分量投与し必ず中止することが必須ですがステロイド治療すると結果的には65%で他の治療が必要になります。ステロイド難治例に対し最初に使用できるようになったのはレミケードを代表とする抗TNFα抗体(レミケード ヒュミラ シンポニ-)です。抗TNFα抗体のおかげで潰瘍性大腸炎の手術率は低下しましたが 抗TNFα抗体の全く効果がない(1次無効)患者さんも30%~40%いらっしゃいます。レミケードはヒュミラ シンポニーに対し1次無効は少ないですが長期的にはレミケードヒュミラ シンポニーの効果は同等です。現在はステロイド難治例、抗TNFα抗体の2次無効に使用できるお薬が増えました。イムランは主としてステロイド依存例に投与しますがCD4リンパ球の抑制が機序の主体で効果は緩徐です。エンタイビオは腸管リンパ球の腸管への流入を抑えて効果を発揮し 慢性に持続する炎症を制御します。そのためやはり効果は緩徐で腸管外合併症には効果がないようです。ゼルヤンツは経口剤で サイトカイン産生の細胞内伝達をストップしその結果、高度で難治の炎症を抑制します。多くのサイトカインを抑えるため効果も迅速ですが帯状疱疹や血栓症などの副作用が多いです。ステラーラは炎症反応の大元を抑制し効果を発揮します。短期の寛解の成績はエンタイビオ ゼルヤンツなどと同等で高くありませんが 少しでも効果が実感される患者さん(有効症例)の割合は高くてレミケードと同等です。 感染症などの副作用が抗TNFα抗体より少ないです。