2022/4/21 第108回日本消化器病学会総会 ランチョンセミナー

潰瘍性大腸炎治療のunmet needsと新展開

上記の演題で兵庫医科大学の渡辺 憲治 先生が最近認可された潰瘍性大腸炎治療薬で経口薬のジセレカを解説してくれました

 

潰瘍性大腸炎治療で足りないところは5-ASA製剤(ペンタサ アサコール リアルダ)を高用量投与しても無効ではないが完全にはなおりきらず(寛解導入できず)慢性にじくじく持続する方がいらっしゃいます。しかしステロイドやバイオ製剤を投与するまではありません。このような場合はイムランを投与しますが Epstain-Barウィルス(EBV)に感染していない患者さん(若い方に多い)はまれですが イムラン服用中にEBVに感染すると 血球貪食症候群を発症し重症化することがあります。そこで現在のところ実臨床ではゼルヤンツが投与されています。

ゼルヤンツは経口薬で細胞内の情報伝達をブロックして多くのサイトカインを抑制するお薬です。投与すると2/3に有効で生物学的製剤を数種類使用した後に投与して効果が落ちにくく 経口剤なので中止することも可能です。再燃したら再投与で90%ぐらいまた効果を発揮します 但し帯状疱疹を代表とする感染症が多く発症することや日本人には多くありませんが血栓症などの副作用がやや多いのが欠点です。(他の副作用としては 妊娠中は使用できない 授乳は避ける 血球減少 肝機能障害 腎機能障害 筋肉障害など)ジセレカはゼルヤンツと採用機序は基本的に同じですがより選択的になっているので このようにゼルヤンツの副作用を減らしつつ、効果は同等、より以上であることが期待されています。ジセレカは投与後1週間ぐらいで効果がでます。イムランとの併用が可能で併用しても副作用は増加しないようです。潰瘍性大腸炎に日本で実臨床で使用するのはこれからですが 関節リウマチではすでに使用されていて投与量が同じなので副作用に関するデータが豊富にあるのが役立つと思われます(患者対象は違いますが)