2022/05/15 日本消化器内視鏡学会 ランチョンセミナー

国立成育医療研究センターの新井 勝大 先生が小児の潰瘍性大腸炎について講演してくれました。

 

海外の研究では小児の潰瘍性大腸炎は 半数の患者さんで病変範囲が拡大、2年後に65%は難治化(ステロイド抵抗:20% ステロイド依存:25~50%) 長期的には20%が重症化 5年で15%、10年で20%の患者さんが大腸切除の手術を受けます。日本の小児潰瘍性大腸炎患者さんも入院するような重症例は ほとんどが全大腸型で 5年で30%が大腸手術に至ります。このため発病初期から積極的に生物学的製剤を導入したほうが大腸手術を防ぐことができます。5歳未満で発症した潰瘍性大腸患者さんは特に予後が不良で早期にレミケードを投与しても手術になることが多いです。日本では小児重症例に対してレミケード投与の前にプログラフを投与することが多く、海外よりも良い成績を残しています。小児では臨床寛解になった2,3ヶ月後に内視鏡検査をすると半数以上に潰瘍が残存しており このような患者さんの多くは18ヶ月以内に再燃しています。小児では大腸カメラによる検査が簡単には試行できないので 便中カルプロテクチン、便潜血を用いて粘膜治癒を評価することが必要です。ヒュミラは小児患者さんにも高用量で外来で投与可能となったのでレミケードも含めた治療の選択肢が増えました