2021/10/26 Stelara® Ulcerative Colitis Web Seminar
潰瘍性大腸炎治療戦略
~長期試験結果からみたステラーラへの期待~
大阪医科薬科大学の教授 中村 志郎先生が上記の演題で講演してくれました。
潰瘍性大腸炎治療の目標は粘膜治癒とステロイドフリー寛解の維持です。潰瘍性大腸炎患者さんにステロイドを投与するとそのうちの30%-40%の患者さんはステロイドが効かなくなります(ステロイド難治症例)。ステロイド難治症例の80%はステロイド依存症で比較的重症度が高くないのでいろいろなお薬を使用できます、20%がステロイド抵抗例です。
ステロイド抵抗例はレミケードやプログラフで治療します。ステロイド依存症例は チオプリン(イムラン アザニン ロイケリン)で加療しますが チオプリンは副作用が多くイムランで治療すると服用できるのは全体の60%程度です。イムランの治療の指標は6-TGN濃度、白血球:3000、MCV>100です。長期のステロイドフリー寛解を達成できる患者さんは15~30%程度です(治療効果が発揮されるのが半年から1年程度かかるのが難点です)。ステラーラは投与後2週ぐらいから下痢 腹痛 血便などの症状は改善しますが寛解になるのには時間がかかります。8~12週でステロイド離脱ができ、治験の成績では2年後のステロイドフリー寛解は40%程度で ゼルヤンツ ヒュミラ強化投与と同等の高い成績です。
副作用は治験ではプラセボと同等、数字的にはプラセボより低値で、重篤な感染症も<5%です。内訳は 上気道感染、頭痛、関節痛、疲労 皮疹などです。結核は報告されていません。実臨床でも長期のステロイドフリー寛解率は40%との報告があります。ステラーラの最も適した患者像は 日常生活 社会生活は可能であるが 起床直後、出勤中、食事後 外出中に急な腹鳴 便意でトイレの場所などに不安を感じる、支障が完全に取り切れていない、QOLが回復していない患者さんです。