2023/1/23 リンヴォックインターネットライブセミナー

潰瘍性大腸炎難治例に対する内科治療

-ウパダシチニブの可能性を考察する-

 

佐賀大学 消化器内科 教授 江崎 幹宏 先生が上記の演題で講演してくれました。

 

潰瘍性大腸炎治療において大規模治験の短期間(約8週)の寛解導入率は各薬剤でそれぞれ レミケード:35%、ヒュミラ:20%、エンタイビオ:17%、ステラーラ:16%、ゼルヤンツ:17%、ジセレカ:17%、リンヴォック:30% 分子標的薬の短期寛解導入率はだいだい20%程度です 短期の有効率が高いのはステラーラ60%、リンヴォック:75%

リンヴォックの治験の成績では 8週 30週 54週でいずれも寛解維持できていた症例は20%、8週で有効な症例は52週でそのうちの40%が寛解、70%が有効でした また他の薬剤より粘膜治癒率が高い数字を出しています。便意切迫は短期間で半数以上が改善し、直腸出血が完全になくなる症例が1週で半数以上になり、2週で全身倦怠感も改善し、効果発現が迅速です。治験のデータからすると一度寛解になると約1年程度は寛解維持できます(治験ですのでそれより長期のデータは現時点ではないようです)維持試験における副作用は帯状疱疹 好中球減少 感染症などです。作用機序としてIL-6やIFN-γなどを強く抑制するからかもしれません。有効性はRCT上ではJAK阻害剤の中でリンヴォック>ゼルヤンツ>ジセレカ、安全性はジセレカが高いです。

バイオ製剤未使用例とバイオ製剤既投与例で治療成績に大きな差がないので ステロイド難治例に対しては2番目に使用したらよいと思われます。