2023/3/17 Rethinking Simponi on UC Therapy
銀座セントラルクリニック院長 鈴木康夫先生がご司会をされ 富山県立中央病院 松田先生、埼玉医科大学総合医療センター 加藤先生、大堀IBDクリニック 吉村先生が基礎から臨床まで講演 討論されました。
炎症が起きるとMAdCAM-1等の接着因子の発現が亢進し炎症細胞の炎症局所への浸潤が増加します。TNFαはNF-κβを介してMAdCAM-1の発現に寄与します。TNFαは炎症細胞の活性化と接着因子発現亢進の両方に貢献しています。また炎症性腸疾患では上皮の間(tight junction)が緩んで透過性が亢進します。EBウィルスは潰瘍性大腸炎、クローン病が軽症の時から病態に関わりがあるとの報告もあります。
シンポニーは他の抗TNFα抗体:レミケード、ヒュミラより免疫原性が低いのが特徴で 海外の実臨床のデータでは長期の継続率:50%でレミケード、ヒュミラより高率です。イムランの併用は継続率に向上に影響しません。
日本人の潰瘍性大腸炎患者さんにおいて実臨床では 主として 外来患者さん 活動性中等症(pMayo:6程度)に使用され、効果発現は比較的早く 短期(6週)有効率:60% 寛解率:30%、中等症でバイオ製剤未使用例がより有効です。5年の継続率はバイオ製剤未使用例:60%弱 バイオ製剤使用例:30%弱
JAK阻害薬(ゼルヤンツ、ジセレカ、リンヴォック)は妊娠女性には禁忌で、高齢者には不適当です(感染症 帯状疱疹の懸念)。採血検査でAlb低値の場合は バイオ製剤は腸管から漏れ出すのでJAK阻害薬の方がより有効かもしれません。抗TNFα抗体が1次無効の場合は次に投与するお薬はステラーラかJAK阻害薬が適当です。ステラーラが最初のバイオ製剤で、2次無効になった時には次のお薬はシンポニーも候補になります。