2023/11/3 JDDW2023ブレックファーストセミナー

潰瘍性大腸炎:治療多様化時代における基準薬の重要性

大阪公立大学 消化器内科 講師 細見 周平 先生

 

潰瘍性大腸炎は大腸粘膜がただれる病気ですが10歳から35歳まで若い間に発症し慢性に経過します。また発症10年以上経過すると発がん率が上昇します。そのため継続した治療が必要です。

1955年、潰瘍性大腸炎にステロイドを投与することにより死亡率が低下することが実臨床で証明されました。近年は種々の新しいお薬が登場しさらに死亡率が低下しています。

1965年、ステロイドは維持療法に有効でなく長期の投与は副作用を増加させることが報告されました。患者さんは有効性と安全性では 安全性をより求めています。潰瘍性大腸炎は軽症 再燃寛解型が多いので5-ASA 製剤が治療の主体となります。臨床効果、発がん抑制効果は用量依存です。同じ投与量なら投与回数が少ない方がより寛解維持率が向上します。寛解維持に最も大切なのはアドヒアランスであるので、薬剤の大きさや錠剤の多さを工夫すれば受容性が高まります。5-ASA製剤は妊娠 出産 授乳にも安全ですが 近年5-ASA不耐が増加してきています。腸内細菌の変化や投与量の増加がその原因かもしれません。