2023/12/6 リンヴォック クローン病適応追加記念 インターネットライブセミナー
新しい時代を迎えたクローン病の内科治療
~JAK阻害剤リンヴォックの使用経験を踏まえて~
銀座セントラルクリニック 院長 鈴木 康夫 先生がご司会され 大堀IBDクリニック 吉村 直樹 先生が上記の演題でご講演されました。
クローン病は発症時 炎症型は70%を占めますが5年たつと穿通型や狭窄型に進行し40%に減少します。 かつて穿通型や狭窄型に進展してしまうとその後の10年間に70%の患者さんが手術を受け その後8年後にはそのうちの20%の患者さんが再手術を受けていました。炎症型の間に治療すれば潰瘍は元に戻ります。診断 治療を早期に開始することが大切です。
クローン病治療の困難な点は小腸病変の診断 病状把握 治療です。直接内視鏡で全小腸を観察することは難しいので小腸造影 MRE CTE 腸管エコーなどの画像検査を用いて腸管の状態を認識することと LRGや便中カルプロテクチンなど用いて その患者さんにあったバイオマーカーによりモニタリングすることが重要です。クローン病では転写因子のSTAT3が亢進していることが知られています。リンヴォックはJAKやSTATなどの転写因子を抑制することにより広くサイトカイン産生を抑えます。特に抗TNF-α抗体(レミケード ヒュミラ)や抗IL-23抗体(ステラーラ スキリージ)が抑える事が出来ない領域を抑制します。
リンヴォックの最も適した患者さんは 外来でフォロー可能は中等症で大腸型 難治の肛門病変やひどい狭窄がない方です。関節炎がある方にも有効です。バイオ無効例にも有効ですが バイオ未使用例の方が有効性はより高くなります。効果発現は迅速で有効な患者さんは2週間で症状が改善してきます。導入後まず2週間目に病状を評価しますが8週間投与しても改善がない 悪化した患者さんはリンヴォックから治療法の変更が必要です。著効し12週時に寛解である患者さんは15㎎/日で維持可能と思われます。
リンヴォックの副作用は特に 帯状疱疹とざ瘡に注意が必要です。ざ瘡は若い患者さんに多く 容量依存なので発症したら減少します。クローン病患者さんは腸管外合併症を発症することがあります。アトピーならリンヴォック 乾癬ならスキリージ ステラーラ 関節炎ならヒュミラ レミケードで治療します。