2023/9/13 IBD Seminar Katariba
5-ASAの進化と真価
東北大学 消化器病態分野 講師 角田 洋一 先生が5-ASA 製剤の最近の話題について講演してくれました。
潰瘍性大腸炎の基本薬はもともとサラゾピリンでした、サラゾピリンはスルファピリジンとメサラミンからなり スルファピリジンは抗菌作用 メサラミンは抗炎症作用を持っています。サラゾピリンもよく効くお薬ですが副作用が比較的多いので 副作用を減らして効果を高めたのが現在の5-ASA 製剤です。
サラゾピリンの副作用に葉酸欠乏による貧血がありますがひどい場合は血栓症をおこすこともあります。
潰瘍性大腸炎の基本治療薬5-ASA 製剤:ペンタサ アサコール リアルダは難治例でなければ粘膜治癒が可能です。製剤間で効果と副作用に差はありません。また低用量(1.5g以下)と中用量、高用量(2g以上)で副作用に違いはありません。5-ASA 局所剤はどんな病型でも(全大腸型でも)併用すると症状の改善に有用です。1.2g/日以上服用すると発癌抑制作用があります。
5-ASA 製剤の治療で最も大切なのはアドヒアランスです。潰瘍性大腸炎治療は長期にわたるのでお薬の量が多い 複数回服用が必要などはPill burdenとなりアドヒアランス低下の原因となります。1日1回服用が患者さんの負担を減らします。
潰瘍性大腸炎の直腸炎は経口5-ASA 製剤の有効性は用量依存ではないので維持期には低用量でも可能です。5-ASA 製剤の副作用で間質性腎炎や心筋炎もあります。
5-ASA 製剤の治療で最も気をつけなければならないのは5-ASA 不耐です。5-ASA 不耐は低用量でも発症します。
ペンタサ4g アサコール3.6gからリアルダ4.8gに変更するのは有効ですがそのうち10%程度に副作用が発症します。そのうちの半分は下痢 発熱の増悪です。
DLSTは5-ASA 不耐の診断にあまり有用でなく補助診断ぐらいと考えたほうがよいでしょう。DLST陰性でも5-ASA 不耐のことがあります。5-ASA 不耐を発症してもお薬を変更して少量から開始すると服用できることもあります。