2024/2/18 Abbvie Immunology Summit
日本のIBDの著明な専門家の先生がクローン病のモニタリングなどについて討議してくれました
IBD(潰瘍性大腸炎 クローン病)の治療目標は粘膜治癒です。クローン病においては早期に効果的な治療を介入することでクローン病の進行、消化管の損傷を阻止できる可能性があります。
MREは患者さんの負担が少ない良い検査ですが軽微な粘膜病変は内視鏡検査のほうが検出力に優れ、特に短い狭窄はMREでは指摘されないことがあります。
カプセル小腸内視鏡は早期クローン病の拾い上げに有用です。しかし検査者により所見の拾い上げが異なる点が問題です。AIの活用がこの点を解消してくれるかもしれません。病状のgradingにも有用です。LEWISスコア>270、CECDAI>3.5であると臨床症状がなくても治療介入した方がよいと報告されています。
LRGは血管内皮細胞でTGFβのシグナル(STAT, NFκβ)を調節し血管新生に役立っています。LRGはクローン病においてCDAIやCRPよりも小腸病変の活動性 特に貫壁性病変をより反映しています。貫壁性粘膜治癒<13、完全粘膜治癒<10
便中カルプロテクチンと便潜血の併用で潰瘍性大腸炎の内視鏡的再発を予測できます。
PEG-MUMは潰瘍性大腸炎の組織学的寛解を反映しますが消炎鎮痛剤、喫煙、下剤などの影響を受けます。
抗インテグリンαVβ6抗体は潰瘍性大腸炎の活動性と相関します。
炎症性腸疾患患者さんは腸管外合併症を30年間で50%以上経験されます。腸管外合併症の出現は潰瘍性大腸炎、クローン病の診断に役立ち、診断までの時間を短縮できます。関節痛は潰瘍性大腸炎、クローン病の患者さんの約40%に認めます。炎症を伴う関節炎は10%~20%程度です。手や足の関節が痛む末梢性関節炎は5%、背骨などの体軸性関節炎は1%ぐらいです。
目の合併症は上強膜炎が最も多く 強膜炎 ぶどう膜炎なども認めます。ぶどう膜炎は無症状のこともあります。
腎結石はそのうち30%が尿酸結石で酸性尿の持続が原因です。
腸管外合併症は発症にTNFαが関連しているので抗TNFα抗体で治療できます。
回腸末端と空腸ではPH 腸内細菌は異なります。クローン病の小腸ではTh17細胞系のサイトカインが高発現しています。クローン病小腸病変のモニタリングマーカーはLRGが適しています。大腸の潰瘍がない場合 FCP<170であれば小腸にも潰瘍がないと推測されます。,
臨床症状よりバイオマーカーを頼りに治療した方がその後の治療成績が良いとするデータもあります。クローン病の肛門病変は皮下痔瘻でなければ早めにバイオ製剤を導入したほうがよいでしょう。