2024/8/28 Skyrizi UC Internet Live Seminar
臨床試験結果をふまえた潰瘍性大腸炎におけるスキリージの適正使用
上記の演題で兵庫医科大学医学部 消化器内科学講座 主任教授 新崎 信一郎先生が講演してくれました。
潰瘍性大腸炎の患者さんが困っている症状は便意切迫感「がまんできずトイレに駆け込む」です。これを少しでも早く無くしてあげることが治療において大切です。
医師の治療目標は粘膜治癒でこれが達成されるとその後の再燃 入院 大腸切除の手術が減少します。
2024/6月にスキリージが潰瘍性大腸炎のadvanced therapy(AT):ステロイド抵抗例/ステロイド依存例に対する治療として実臨床で使用できるようになりました。
大規模治験:インスパイアにおける潰瘍性大腸炎に対する寛解導入の成績(12週):寛解率20%(AT-未経験:30%、AT-経験:11%)、有効率64%(AT-未経験:74%、AT-経験:55%)
寛解維持試験:コマンドでは52週の寛解率40% 内視鏡的改善率(MES0または1):50%
維持治療は180mgまたは360mgを2ヶ月毎に皮下注します。両群で維持治療の成績は同等でした。どちらを選択するかは寛解導入時(12週時)にバイオマーカーや内視鏡検査、臨床症状などで寛解達成している患者さんは180mgで維持できます。改善したが寛解に至っていない患者さんは360mgで維持すると治療効果が上昇します。スキリージが比較的ゆっくり効いてくる患者さんもいるので12週で効果がなくても皮下注射を24週まで継続すると全体の80%が有効を達成します。
副作用は重篤なものはなくて 咽頭炎 頭痛 関節痛 肝機能障害です。
スキリージは効果減弱時にレスキュー治療として1200mg静注できることが使用上の特徴の1つです。レスキュー治療すると1年後の寛解率25% 有効率50%です。レスキュー治療しても副作用は増加しません。維持治療中に次の皮下注前に再燃傾向がでてくればレスキュー治療の適応です。またスキリージは抗薬物抗体の出現が4.4% 中和抗体:2.2%で 出現頻度が低率です。