2024/9/30  Ulcerative Colitis Web Seminar

リアルワールドエクスペリエンスからみた長期寛解維持効果の重要性

久留米大学 消化器内科 准教授 竹田津 英稔 先生が講演してくれました

 

潰瘍性大腸炎ステロイド不応性の難治例の治療において

ステロイド抵抗例の重症患者さんには早く社会復帰をめざして有効性と即効性の高い薬剤を選択します;レミケード リンヴォック、重症で65歳以上であれば安全で有効性の高い薬剤:ステラーラ、シンポニー ヒュミラ ジセレカなどを選択します。

ステロイド依存症で64歳以下であればどの薬剤も有効なので患者さんのライフスタイルに合わせて薬剤を選択します。

65歳以上で安全性の高いお薬を選択します;ステラーラ エンタイビオ。

どの薬剤でも有効な場合に できるだけ論理的に薬剤を選ぶとすると参考になるのはバイオマーカー、内視鏡所見 病理所見です

PR3-ANCAは形質細胞より放出され好中球を刺激しTh17系細胞を活性化します。PR3-ANCAは潰瘍性大腸炎患者さんの約70%に陽性で測定値と重症度が相関します。

好中球/リンパ球比(NLR)<2は経過がよい症例です。NLRはPR3-ANCAと相関し NLRが高いと抗TNFα抗体が効きにくく 2次無効になりやすいというデータがあります。またオンコスタチンMが高値であると抗TNFα抗体が効きにくいと報告されています。

PR3-ANCA NLR オンコスタチンMが高値の場合は 好中球ーTh17系細胞が炎症の主体と考えられるので Th17系細胞を制御するお薬:ステラーラ スキリージ オンボー、JAK阻害薬(リンヴォック ゼルヤンツ ジセレカ)などを投与します。

内視鏡検査で浮腫が主体でなく潰瘍形成が著明は場合は 腸管上皮がTNFレセプターを発現しているので抗TNFα抗体:レミケードを投与します。

生検病理でGeboesスコア:2Aが上昇している場合は粘膜固有層への好酸球浸潤が著明なので Th2細胞/IL5が主体と考えられるのでステロイド イムラン JAK阻害薬を投与します。好酸球はα4β7も発現しているのでエンタイビオも有効です。

Geboesスコア:2Bが上昇しているときは好中球浸潤が著明なのでTh17細胞/IL23,IL17が病態の主と考えられるのでステラーラ スキリージ オンボー、JAK阻害薬などが適当でしょう。