2024/11/16 JDDW2024 モーニングセミナ-
炎症性腸疾患と腸内細菌のこと どこまで影響しているのか?
東京山手メディカルセンター 炎症性腸疾患内科 深田 雅之 先生 講演
現代人と14世紀の人の腸内細菌叢の組成は大幅に異なっています。潰瘍性大腸炎 クローン病は 食事の変化による腸内環境の変化に何かが加わることで発症するのではないかと考えられています。
アメリカ合衆国では潰瘍性大腸炎 クローン病の発症はプラトーになっていますが日本では2050年ぐらいまで増加すると予想されています。
潰瘍性大腸炎 クローン病の病態は腸内細菌叢に対するT細胞の異常活性化です。炎症性腸疾患においては腸内細菌に対する特異的な抗体が検出されます。ある細菌に対する抗体が一度出現し消えていきますが 消えない方が炎症性腸疾患になりやすいという報告があります。
Dysbiosisは帝王切開による出産 衛生改善 抗生剤の使用 高脂肪 少ない食物繊維で増加するとされています。
健康な方は腸内細菌の多様性が保たれ、酪酸を代表とする短鎖脂肪酸が多く産生され調節性T細胞が増加し腸管内の恒常性が維持されます。潰瘍性大腸炎 クローン病は 腸内細菌叢の多様性が低下し酪酸の産生が減少して調節性T細胞が減少し 活性酸素の増加や腸管上皮の透過性亢進のため組織障害がおこってきます。
Th17細胞は局所リンパ節に、Th1細胞は所属リンパ節に存在しますが記憶性T細胞が活性化すると長期にわたってそこにとどまります。
5-ASA 不耐やステロイド抵抗性に腸内細菌が関係するようです。5-ASA製剤は腸内環境を良くする働きもあります。整腸剤は潰瘍性大腸炎の治療において IgAの分泌 ムチンの産生亢進をおこすことにより短期的には有効であるとメタアナリシスでも報告されています。単剤より多剤のほうがより有効です。