2025/5/19 Skyrizi UC Internet Live Seminar

UC治療薬最適解を導くための新座標軸

岡山大学病院 炎症性腸疾患センター センター長/准教授 平岡 佐規子先生がご司会をされ 浜松医科大学 内科学第一講座 教授 杉本 健 先生が講演してくれました。

 

潰瘍性大腸炎はヘテロなサイトカインプロフィールを有しますがそのプロフィールを大別するとTh1系細胞,Th2系細胞,Th17系細胞に分類できます。

Th1系細胞はIL2,IFNγが主たるサイトカインで細胞性免疫を司ります Th2系細胞はIL4,IL5が主たるサイトカインで液性免疫を司ります。Th1優位な病態はIL12で誘導され、IL2の増加によりTNFαが上昇します。IL12はJAK-STAT系で誘導されるので、この病態の時にはプログラフ 抗TNFα抗体、ステラーラ JAK阻害薬が有効です。Th2優位な病態はIL33で誘導され IL5 GM-CSFが上昇するので腸管内に好酸球 好中球が増加します。リンヴォックはGM-CSFを抑制できるのでこの病態の時にも有効です。

Th17優位な病態はIL6で誘導されIL23,IL17が上昇します。IL17は好中球を腸管炎症の部位に引き寄せ、病理では腺管内への浸潤が目立ちます。IL23もJAK-STAT系で誘導されるので、この病態の時にはステラーラ 抗p19抗体(スキリージ オンボー トレムフィア) JAK阻害薬が有効です。

IL17, IL22は腸管内の炎症防御に役立っています。抗IL17抗体はnegative feed backによりIL23が上昇するので皮膚疾患には有効ですが腸の炎症には効果がありません。Th17優位な炎症を抑制するには抗p19抗体(スキリージ オンボー トレムフィア)が優れています。文献によると Th1優位:15%、Th2優位:60%、Th17優位:25%と報告されています。炎症のきっかけをつくるのは抗原提示細胞が産生するIL12なので寛解期になるとTh1活性化を抑制するステラーラが有効です。