2025/10/9 IBD Expert Meeting in 大分
~Ulcerative Colitis~
潰瘍性大腸炎におけるスキリージの治療戦略
~臨床試験結果と使用経験からの考察~
大分大学医学部 消化器内科 特別教授 村上 和成 先生が座長をされ、三菱京都病院院長補佐 田中 淳也 先生が上記の演題で講演してくれました
潰瘍性大腸炎のステロイド難治例の治療は案外上手くいっておらず、少なくとも2種類の異なった機序の生物学的製剤/Jak阻害薬に効果のない症性腸疾患の患者さんはdifficult to treat IBD:D2T-IBDと称されます。ステロイド難治例の25%程度と推定されています。最初に使用したお薬が最も使用期間が長く お薬を変更するたびにそのお薬の使用期間は短くなってきます。ですので最初のお薬の選択が最も重要です。
潰瘍性大腸炎の病理はGeboesスコアで評価します。Grade3は上皮の好中球浸潤を評価します。Grade2は粘膜固有層の評価です。Grade2で好中球の浸潤は予後不良のサインです。好酸球浸潤は再燃 薬剤耐性のサインです。内視鏡検査でMES0達成以後の再燃率:17%ですが これにGeboes≦3.1が加わると再燃率≦5%に減じます。潰瘍性大腸炎の病態形成に好中球は初期からずっと関わっています。好酸球は後からだんだん関わってきます。潰瘍性大腸炎の病態形成に関わるT細胞はTh1細胞、Th2細胞、Th17細胞があります。IL23はTh17細胞の活性化の役割があります。
便中カルプロテクチン<50~100が目標です。血液中のマーカー:LRGは上昇のさいはTh17細胞、好中球の関与が考えられます。LRG低値にもかかわらず炎症があるときは好酸球が炎症の主体です。尿中のマーカー:PEG-MUM>25で以後の再燃率が高くなります。病理で好酸球浸潤が主体の時は中等症ならエンタイビオ 重症ならリンヴォックです。病理で好中球浸潤が主体の時は中等症なら抗IL23抗体:スキリージ、トレムフィア、オンボ-です。重症ならリンヴォックです。生検したときは病理の先生に粘膜固有層の細胞は好中球か好酸球のどちらが主体なのか評価してもらうと薬剤選択に役立ちます。
抗IL23抗体:スキリージ、トレムフィア、オンボ-;3剤の中でIL23への親和性が最も高いのはスキリージです。ネットワークメタアナリシスにおけるnaïve患者さんの短期間解導入の成績はスキリージ>トレムフィア>オンボ-です。スキリージは薬剤継続率が高く、投与後52週で効果のあった患者さんはその2年後にも90%の患者さんがスキリージの治療を継続していました。組織で好中球浸潤が多く、LRGやPEG-MUMなどのマーカーが高値の患者さんがスキリージの良い適応でしょう。