2025/11/01 JDDW2025 ランチョンセミナー55
新規低分子化合物を加えた潰瘍性大腸炎の最新治療
~S1P受容体調節薬・ベルスピティの位置付け~
北里大学北里研究所病院炎症性腸疾患先進治療センター センター長 小林 拓 先生
潰瘍性大腸炎 クローン病は若年で発症し慢性に経過するため 人生の転機に病気と共存している。発症 再燃などの患者さんの負の体験は不可逆的に蓄積していきます。早期に改善し再燃の心配のない日常生活を送ることができるような治療が必要です。
S1P受容体調節薬で臨床に最初に登場したお薬はフィンゴリモドと言います。多発性硬化症の治療薬です。フィンゴリモドは治験や実際の臨床現場で徐脈 黄斑浮腫が出現したため 以後のS1P受容体調節薬の開発の時には これらの副作用が注意喚起として挙げられ調査されています。
ベルスピティの大規模治験は 最近多く行われているレスポンダー再無作為化デザインではなくてTreat-throughデザインで行われました。Treat-throughデザインはデータの解釈においてより臨床の実感に近い治験デザインです。
治験成績からは良く効くタイプは 治療が5-ASA製剤のみ 抗TNFα抗体未投与、前治療で使用したお薬の数が少ないなどが挙げられます。病型では全大腸型より左側型 特に直腸炎型に有効でした。病状の改善スピードは案外速く 病状の改善は投与後2日目から認められ 寛解に達するのは10日目でした。副作用は軽微かつ重篤でない、非特異的なもの:上咽頭炎 頭痛 関節痛など主たるもので、徐脈 黄斑浮腫 感染症の増加などは認めませんでした日本人の治験でも副作用は同様でした。
ベルスピティの効果的な使用方法は 重症度は軽めで 重症になる前の患者さんが良いでしょう。NUDT15:Cys/CYSでイムランが使用できない患者さんや ステロイドが副作用で使用できない 使用を望まない患者さんなどにはAdvanced-therapyの前に投与してもよいと思われます。局所製剤など充分治療しても改善しない直腸炎型の患者さんも良い適応です。