|2017年11月28日|新しいメサラジン製剤のリアルダが発売となりました
潰瘍性大腸炎の治療はメサラジン製剤が基本です。潰瘍性大腸炎の患者さんのほとんどのかたはペンタサ、アサコール、サラゾピリンのどれかを服用されていると思います。
これらのお薬を大きくまとめてメサラジン製剤と呼びます。メサラジン製剤は前述のとおり潰瘍性大腸炎の患者さんにまず投与する薬です。昨年11月末に新しいメサラジン製剤のリアルダが発売となりました。
メサラジンの特徴は
- 内服量が増えるのに比例して効果が増す
- 内服量が増えても副作用は増えない
- 効果は 体内に吸収されて発揮するのではなく(吸収されると副作用になる)、胃や十二指腸、小腸で吸収されず大腸の潰瘍に直接くっついて潰瘍をなおす作用がでてくる
- 長く服用することで潰瘍性大腸炎の経過の長い方に発生する大腸癌の予防効果がある
以上の点です。
「1」について現在、日本での1日の内服の最高量はペンタサ:4g、アサコール:3.6g,サラゾピリン(メサラジンとして):3.2gですが、リアルダ:4.8gと最も多い量です。当然ながら飲む量が多いほど効果があることがリアルダは治験で証明されています。
「3」についてペンタサは時間と共にメサラジンが溶け出してゆきます。アサコールは大腸のなかに入るとお薬が割れてメサラジンが放出されます。サラゾピリンは大腸にはいると腸内細菌の力でメサラジンが出てきます。リアルダは大腸に入るとカプセルが割れ、さらに直腸まで十分メサラジンが届くようにゆっくりとしみでるように放出されるようなお薬です。ペンタサとアサコールのいいとこ取りですね。
またお医者さんにもらったお薬をキチンと飲むこと(このことをアドヒアランスと言います)がそのお薬の効果を最大限に引き出すことになります。これも当然ですがキチンと処方された分だけお薬を飲む方は、飲み忘れの多い方より良く効くわけです。
ペンタサは朝・夕の2回、アサコールは朝・昼・夕の3回、サラゾピリンは2~3回の内服回数です。リアルダは朝1回のみの服用ですので 飲み忘れが少なくて良いアドヒアランスが期待されます。
但しリアルダは多くの量を一度に服用するため 錠剤がやや大きいので飲みにくいと感じるかもしれません。
また(これは日本のきまりですが)新薬は1年間(つまり2018/11月末まで)2週間しか投与できません。2週間ごとの受診ってちょっと大変ですね。
潰瘍性大腸炎のかたで、もし少し悪くなりかかった時には主治医の先生とよく相談してリアルダも治療の候補の一つにすると良いかもしれません。
この記事のを書いた人
石田 哲也
石田消化器IBDクリニック院長
大分医科大学大学院(病理学)卒業後、米国にて生理学を学ぶ。帰国後、炎症性腸疾患(IBD、潰瘍性大腸炎、クローン病)を専門に研究、治療。
元:大分赤十字病院 消化器科部長
現在:日本内科学会認定医|日本消化器病学会専門医|日本消化器内視鏡学会指導医|日本消化管学会胃腸科指導医|日本プライマリーケア連合学会専門医|日本消化器病学会九州支部評議員|日本消化器病学会評議員